福岡・別府間110kmを結ぶ遠隔手術ロボット実証が始動

九州大学など6機関は、福岡市と大分県別府市にある九州大学病院の2拠点をIOWN APNで結び、マイクロサージェリー用ロボットの遠隔操作を検証します。手術映像に描いた指示を臓器の動きに合わせる遠隔指導の仕組みも扱い、地域による医療格差の解消を目指します。

福岡・別府間110kmを結ぶ遠隔手術ロボット実証が始動

約110km先のロボットを操作できるか

実証の対象となるのは、九州大学が開発を進め、同大発ベンチャーのF.MEDが開発した微細な手術向けの支援ロボットです。九州大学病院から別府病院に置かれた機器を動かし、細い血管を縫い合わせる操作が可能かを調べます。両病院の距離はおよそ110km。光信号を用いるIOWN APNを通信基盤に活用し、映像の伝送と操作の応答に必要な品質を確かめます。発表によると、同ネットワークを使ったマイクロサージェリー用ロボットの遠隔操作検証は、調査した公開情報の範囲で世界初とされています。

映像伝送から遠隔操作へ、段階的に検証

遠隔操作では、糸や血管の状態を見分けるため映像を圧縮せずに送ることが求められ、操作への応答は往復で0.005秒以内が必要とされています。NTTドコモビジネスの通信サービスを使い、まず2026年度に映像伝送の基礎検証を行い、翌2027年度にロボット操作を確認する計画です。NTTイノベーティブデバイスは映像伝送装置などを提供し、NTTも通信や遠隔手術支援に関する技術面で協力します。実証全体は総務省の地域社会DX関連事業に採択され、期間は2026年度から2027年度までの2年間です。

手術映像に描いた指示が動きに追従

もう一つの検証テーマは、手術映像上に描いた線や印を、臓器の動きや画面の拡大に合わせて追従させる技術です。九州大学が開発し特許を持つこの仕組みにより、遠隔地の指導医が手術中のどの箇所をどう扱うか、映像を通じて具体的に伝えられます。この指導は専用光回線ではなくインターネット回線を使う想定で、セランが映像送信や双方向音声などをまとめた装置を構築します。専門医の知見を共有し、外科医の教育や育成を支えることも狙いです。

技術検証を地域医療の支援につなげる

九州大学は実証全体の統括と臨床評価、日本外科学会はガイドラインとの整合や責任の整理などを担います。F.MEDはロボットの開発と遠隔操作に向けた改良を進め、通信や映像伝送、指導システムは各社が役割を分担します。研究者は、遠隔手術では通信の質が重要だと説明し、今回の取り組みをシミュレーションとして実施する考えを示しています。実証を通じて、遠隔操作と遠隔指導の双方から、地域の医療提供体制を支える可能性を探ります。

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編集者コメント

微細な血管を縫うロボット操作と、映像上の指示を追従させる遠隔指導を一つの実証で扱う点が印象的です。まず通信や操作の条件を確かめる段階であり、地域医療への活用に向けた検証の進展に注目したいところです。

よくある質問

実証では何を確かめますか?

別府病院に設置した手術支援ロボットを九州大学病院から操作し、細い血管を縫う操作などが可能かを検証します。手術映像上の指示を臓器の動きに追従させる遠隔指導も扱います。

実証はいつ行われますか?

実施期間は2026年度から2027年度までの2年間です。2026年度に映像伝送の基礎検証を行い、2027年度にロボットの遠隔操作を検証する計画です。