がん治験でDCT始動、近隣医療機関の活用で移動負担を軽減
京都大学医学部附属病院など5者は、アッヴィが主導するがん患者向け治験で、分散型臨床試験(DCT)を2026年7月から始めます。患者は居住地に近い医療機関で参加前の確認を受けられ、治験薬の投与や検査は京大病院で行われます。

近くの医療機関で参加前の確認に対応
今回の取り組みには、京大病院、国立病院機構 四国がんセンター、アッヴィ、NTTデータ、NTTドコモビジネスが参加します。対象となるのは、アッヴィが主導するM25-279試験です。患者は自宅の近くにある協力医療機関で、事前確認に関する説明と同意を受け、治験に参加できる条件を満たすか確認してもらえます。その後、治験薬の投与や必要な検査を受ける段階では、京大病院を訪れる形です。参加の可否を確かめるために、最初から京大病院まで出向く必要がなくなるため、遠方からの移動に伴う負担を減らすことが期待されています。
治験情報や地域による機会の差に対応
臨床試験を行う医療機関は試験ごとに決まるため、住んでいる地域によっては、参加できる試験が限られる場合があります。試験の情報を知る機会が少なく、参加を考えるところまで至らないことも課題として挙げられています。そこで、居住地に近い医療機関やデジタル技術を組み合わせるDCTが注目されています。ただし、複数の医療機関がどう役割を分け、どのように運用するかは、まだ十分に形が定まっておらず、実際の導入例も限られているとのこと。今回の試みでは、医療機関同士の連携を通じて、地域から治験にアクセスしやすくする運用の構築を目指します。
実施モデルの整備とシステム面の対応も
5者は取り組みを通して、協力医療機関を生かしたDCTの運用モデルを確立する方針です。実施を通じて得られる知見を踏まえ、ほかの医療機関や治験に広げることも検討するとしています。NTTデータとNTTドコモビジネスは、NTTグループによる治験・臨床試験の取り組みの一環として、DCTを支えるシステム基盤の整備を進めます。NTTデータは治験支援システム「PhambieLINQ」のDCT関連機能を更新し、2027年に本格的なDCTサービスを提供する予定です。地域での参加機会を広げながら、患者の移動負担にも配慮する仕組みが、今後どのように他の試験へ展開されるかが注目されます。
編集者コメント
参加前の確認と治験薬の投与・検査を異なる医療機関で担う点が、この取り組みの特徴です。運用モデルの確立やシステム整備が進めば、地域から治験にアクセスする方法の広がりにつながる可能性があります。
よくある質問
今回のDCTでは、どこで治験参加前の確認を受けられますか?
患者は居住地に近い医療機関で、事前確認に関する同意と参加条件の確認を受けられます。治験薬の投与や検査は京大病院で実施されます。
この取り組みはいつ始まりますか?
アッヴィが主導するがん患者向け治験で、2026年7月から開始する予定です。